肘・手の症状

変形性肘関節症

原因

肘関節を酷使（野球やテニスのように肘に負担をかけるスポーツ、大工仕事や荷物の運搬などの重労働）したり、肘の骨折や脱臼、関節炎などの後遺症として起き、変形性関節症が肘関節に起きている状態のことを言います。

症状

関節の変形に伴って、ひじの痛みが、徐々に現れてきます。
しかし、肘の関節には、体重があまりかからないため、安静にしていると痛みは軽減し、主に仕事やスポーツなどで肘を使った後に痛みが起こります。

変形性肘関節症を放置していると、肘の変形が進み、肘を十分に曲げ伸ばしすることが難しくなったり、手の指がしびれたり、握力が低下したります。そのため、食事、衣服の着脱などの日常生活に支障を来すようになります。

治療

初期には、保存療法を行います。湿布、外用薬、鎮痛剤消炎剤を内服しながら、肘のストレッチ、筋力をつけるトレーニングを行います。また、関節内へのステロイド注射も有効です。
肘の動きが困難で日常生活に支障を来たす場合には、関節鏡を使用して手術を行うことがあります。さらに変形が進行した場合には、人工関節に置き換える手術が行うこともあります。

狭窄性腱鞘炎

原因

一般的に「腱鞘炎」と言われていますが、正式には「狭窄性腱鞘炎」といい、妊娠出産期の女性や更年期の女性に起こることが多く、手の使いすぎやスポーツや指を良く使う仕事の人にも多く見られます。

狭窄性腱鞘炎には、特に代表的なものとして、「ばね指」と「ドゥケルバン腱鞘炎」と言われるものがあり、「ばね指」は単純作業で手を使いすぎた時に、多くは、人差し指、中指、薬指に炎症が起こり発症します。これに対し「ドゥケルバン腱鞘炎」は、手首を酷使する職業やテニスなどのスポーツ、授乳などにより、手首部分の腱鞘で炎症が起こり発症します。

症状

指がひっかかったような感覚になり、うまく指が伸びなくなったり、手関節に痛みを伴うことがあります。安静にせずに放置した場合には、症状が悪化し、動かしていないときでも痛みを感じるようになります。

「ばね指」は、指が曲がった状態で無理に伸ばそうとすると、ビーンとバネが伸びるような動きをします。「ドゥケルバン腱鞘炎」は物を握ったり摘む時に、手首の親指側が痛むなどの症状があります。

治療

初期には保存的療法を行います。まずは患部を安静にする事が第一ですが、この他に、症状によって、患部を冷却または温め、投薬や腱鞘内ステロイド注射などを行います。症状が改善しない時は再発を繰り返す場合は、腱鞘を開く手術（腱鞘切開）を行います。手術と言っても、切開するのは腱鞘の一部だけで、小さな傷で済みます。

突き指

原因

突き指は捻挫の中の一つで、受傷原因である「指を突いた」からつけられた名称です。
野球・バレーボール・バスケットボール、サッカーのゴールキーパーなど、 特にボールを使うスポーツに付き物の怪我といってもよいほど、多く見られます。

症状

主な症状としては、突いた指の痛みと腫れです。痛みは激痛というほどではなく、じくじく痛んだり触るとビクッとしたり、骨折に似た痛みで、突き指だと思ったら実は骨折していた、という事もあります。外見と症状だけでは、判断できない場合もありますので、必ず、適切な診断のもとに治療を行いましょう。放置すると関節機能に障害を来すこともあります。

治療

まずは患部の「冷却」を行い、その後「固定（テーピング）」を行います。この他に、消炎剤クリームを塗ったり、湿布を貼ったりします。
「突き指をした指を思いっきり引っ張れば治る」と言われたりしますが、これはまったくの迷信です。引っ張ることにより余計悪化してしまいますので、絶対に辞めましょう。

テニス肘・ゴルフ肘・野球肘

原因

手を使うスポーツ（テニス・ゴルフ・野球など）や、日常生活・仕事などによる、使い過ぎで発生することが多く、正式名称は「上腕骨外側上顆炎」「上腕骨内側上顆炎」と言います。
別名で、上腕骨外側上顆（肘の外側）が炎症・部分断裂などを起こした「上腕骨外側上顆炎」を「テニス肘」、上腕骨内側上顆（肘の内側）で炎症・部分断裂などを起こした「上腕骨内側上顆炎」を「テニス肘」「ゴルフ肘」「野球肘」と呼びます。
症状を起こすのがテニス・ゴルフ・野球プレーヤーに多いため、このような別名で呼ばれています。

症状

上腕骨外側上顆炎の症状

肘の外側を押さえると痛みがあり、日常生活ではドアノブを回すときや、ぞうきんを絞るときなどに痛みが強く出ます。テニスでは、特にバックハンドの時に痛みが出たりします。

上腕骨内側上顆炎の症状

肘の内側を押さえたり、手首を手のひら側へ動かしたときに痛みが出ますが、内側上顆炎は外側上顆炎と比較して発症頻度が低く、重度の症状にならない限り、日常生活の範囲で強い痛みを生じることはありません。野球では、特にボールを投げる瞬間（リリース期）に痛みが走ります。

治療

いずれも炎症を抑えるために保存療法を基本に行います。まず、スポーツは控え安静を保ち、手技療法や温熱療法を主体に行います。
痛みが強い場合は、消炎鎮痛薬の服用や湿布などを使用します。症状が軽い場合はこれらの治療により回復し、痛みも徐々に緩和されますが、症状が思い場合はステロイドホルモン注射や関節レーザー治療を行うこともあります。